歯磨きにまつわるトリビア

食べてすぐに歯磨き

お昼ごはんにみんなでラーメンや餃子を食べたら、食後のホットコーヒーとデザートを愉しんだ後にすぐ歯を磨こうとする人もいますが、 これは良いことのように見えて実は良くないことなのを知っている人はどれほどいるのでしょう。 食後すぐの状態は口内が酸性になっていて歯の表面を覆っているエナメル質も少しだけ弱くなっているので、 そのままゴシゴシを力いっぱい磨くと歯を傷つけてしまう可能性がほんとうに多少ですがあるのです。 すぐにでも歯を磨かなきゃ、と強迫観念のように食後は間髪いれず洗面台に駆けつける人もいますが、食事直後の酸性の口内は歯磨きには適さないのです。 ならすぐに歯磨きがダメならどれほど時間をあければいいのか、そうあなたは疑問を持つでしょうから回答しますと、 食事が完全に終わってから20分くらい友人との面白トークをしたあとで歯を磨きに向かうのがベストです。 あまり気分が乗らなければ面白トークでなく深刻な悩みを打ち明けたり(虫歯があるみたいなんだ、しかも1本ではなく3本も、とか)天気の話をしたり (このあと歯医者さんにいく予定があるんだけど晴れるかな、雨が降ったらタクシーでいかなきゃ、とか) なんとかすぐに歯磨きに向かいたい気持ちを抑えてください。 デザートを食べ終えてすぐは口内が酸性ですが、町の歯科医院の噂話でもして時間を過ごしている間に唾液の働きによってあなたのお口の中は中和されていくのです。 この働きで歯の表面が再石灰化されて元通りの硬さを取り戻しますので、それから思う存分歯を磨くのが正しい歯磨き道でしょう。

歯ブラシを濡らす

みなさんが洗面所の前で歯ブラシを手にした時、最初に行う行動はなんでしょうか。 わりと多いのが「まずは歯ブラシに水をかけて湿らす」「先に歯ブラシを濯いだほうが綺麗になりそうだし、軽く洗う意味もこめて水で流す」です。 そして歯磨き粉を付けて磨き始める人がいるのですが、これはプロの視点から見るとまるで素人同然の行為でやってはいけないことになるのです。 同じように歯ブラシに歯磨き粉をつけてから一度濡らす人もいますが、同じようにこれも間違った方法になります。 濡らした歯ブラシに歯磨き粉を付けて磨けばとっても良く泡立ち、すごく上手にできたと錯覚を起こしてしまいますが、 泡が出来やすいようにしているせいで本来の磨き量に比べて大量の泡が発生しているだけのことで、実はそんなに磨けていません。 それなのにこんだけ泡だらけになるまで磨いたのだからもうピカピカだろうと間違った解釈をして、やや早めに磨き作業を終了させる凡ミスを引き起こします。 これでは充分な磨きは得られないのに満足感だけは得られてしまいます。 そして泡に騙されて歯磨きの時間を短縮しているせいで虫歯になったとしても、「なんであんなに泡が口の中から溢れ出てくるまで毎日歯を磨いていたのに 虫歯がこんなに出来てしまったんだろう」「手羽先を食べた後はいつも泡にまみれるほど歯磨きしたのにどうしてこうなった」 「完璧な歯磨きをしていたはずだからこの虫歯の原因は他にあるだろう、誰かの呪いかな」と不思議がってしまいます。 自分が泡に欺かれていたとは気付かず、泡のせいで知らず知らずのうちに充分な歯磨き時間に満たないまま終了させていたとは夢にも思わないのです。 こんな罠に引っかからないように泡立てすぎるのはよくありませんので、最初に水で濡らすという行為はやめたほうがいいのです。 毎回時間を決めているから泡には騙されない、と自信があるのなら大丈夫ですが、泡に釣られて満足してしまう人は乾いたまま開始するべきでしょう。

硬い歯ブラシで強く

歯磨き粉を付けて磨くのなら硬い毛のほうが断然有利、と思っている九州男児も西日本の特に九州あたりには多そうですが、 硬めの歯ブラシの方が汚れを落としやすいかというとそうであるとは言いがたいのが今のところの見解です。 硬いほうが歯を擦ったときに表面に強く接触するのだから、頑固な汚れでも問答無用でそぎ落としそうな勢いを持っているのは確かなのですが、 でもそれ以外の小回りで柔らかい毛先に劣ってしまう諸刃の剣なのです。 毛の先っぽがあたる歯の部分は大きな力が働いて付着した汚れを取り除いてくれるでしょうが、柔軟性に欠けるために歯の隙間は綺麗に磨くことが困難になります。 野球に例えるとストレートには強い強打者だけど変化球には弱い、といった感じで九州男児が思っているほど万能ではないのです。 むしろ歯並びによっては柔らかい毛のほうが磨き残しもなくなるし、誰にでも扱いやすいので好んで選ばれることにもなります。 豪快にゴシゴシ磨くには硬い毛で歯磨き粉をたっぷり付けてガーッとやる方が気分も高まるのですが、正面から見える部分はともかく奥の隙間を磨き残すことに なりやすいことも考えなければ一流の歯磨き師にはなれないでしょう。 磨いた気になりたいだけならそれでいいのですが、虫歯予防のために磨くのなら柔らかい毛先の歯ブラシで見逃しのないようにくまなく丁寧に磨くほうがよっぽど効果的で、 虫歯と縁のない生活になるでしょう。 硬くてもしっかり磨くテクニックを持っている、という達人でなけれな気分や勢いで硬い毛先の歯ブラシを選ぶのは安直すぎるのでやめておきましょう。