歯磨き粉の正体を知る

歯磨剤

歯磨き粉は数多くある歯磨剤(しまざい)の中のひとつで、名前からも明らかなように歯を磨くときに使われるペースト状で白色の薬品です。 どうして粉状でもないのにこんな名前なのだろう、という疑問に対しては、昔は粉状だったからという回答が用意されているので心配いりません。 歯科医師には歯磨き粉を使うようにと言われたのにチューブに入っているこれは、朝だろうが夜だろうが粉になることもないし間違えて買っちゃったのかな、 薬局で勘違いして歯磨きクリームを購入してしまったのかも、ドラッグストアの店員に勧められた商品を選んだけどこれは歯医者さんが言ってたのと違う物かもしれない、 と後悔しそうになったことのある人はあまりいないでしょうが、ネーミングについてはちょっと納得いかない部分もあるかもしれません。 ただ昔はこの名称で正しかったしそれが根付いているのだから、粉状ではなくなった現在主流の歯磨剤についても歯磨き粉の名前を引き続き使ったほうが混乱も少ないし、 新たなネーミングを考えてもそれが定着するかどうかは運試しになってしまうし、ならばこのまま誰にでも通用する呼称を使っていくほうがスムーズに会話も進むし 誰も困らないし、粉を加工してペーストにしてあると考えれば全くのでたらめではないのだろうからこのままでいいか、となったのでしょう。 試しに替りとなる名称を考えてもしっくりくるアイデアが浮かびませんし、きっとこの先数年どころか数十年、あるいは100年後の未来の日本でも 今と同じように粉でなくとも「歯磨き粉」と呼ばれているかもしれません。

歯磨き粉の成分

誰に教わったのかは謎ですが歯磨き粉には歯をきれいにする成分しか含まれていないと思っている人も多いようで、 ここは正確な知識をみんなが持つべきポイントになると、歯医者さんも徹底したほうがいいと考えているようです。 ではどのような成分が含まれているのかというと、主な成分は研磨剤と発泡剤がありそのほかに保湿剤と結合材、あとは薬用成分も含まれています。 研磨剤はなんだか口の中に入れるのは恐い名前ですが歯の表面を磨いてくれる成分で、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどが一般的です。 ヤスリでゴシゴシ擦るのを連想してしまいがちですがそこまで削ってしまうことはなく、表面についた汚れを落としてくれる役割を持っています。 発泡剤は泡立てるための成分で、これがなければ歯を磨いた実感が沸かないので意外と重要な成分になりますが、でも実際は泡立てるだけです。 ラウロイルサルコシンソーダ、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウムなどが使われますが普段の生活ではあまり馴染みのないような名前ですし 無理してこれを全部覚える必要もないでしょう。 保湿剤は湿度を保つためのもので、ペースト状を保つためにはこれが欠かせません。ソルビトール、プロピレングリコール、グリセリンなどが代表的な保湿剤です。 結合材はこれらを上手につなぎ合わせるもので、カルボキシメチルセルロースやアルギン酸ナトリウムがあるのは歯科医師なら知っていることです。 この4つが基本成分となり、これプラス医薬部外品歯磨剤に分類される歯磨き粉には薬効成分が含まれることになります。

薬効成分

歯磨き粉に含まれる薬効成分で一番人気なのはフッ化物で、熊本県や福岡県、鹿児島で市販されている歯磨剤の約9割がフッ化物配合の歯磨き粉であるようです。 フッ化物とはフッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどでどれも歯の健康には欠かせない虫歯予防に有用な成分です。 モノフルオロリン酸ナトリウムは歯質強化と再石灰化に大きな効力を発揮するので、虫歯の発生や進行を食い止めてくれるとても頼もしい成分です。 フッ化ナトリウムは口内炎や歯槽膿漏を予防してくれる働きを持っているので、口内をいつまでも健康なままで保ちたいのであれば 毎日朝晩この成分のたっぷり含まれている歯磨き粉を使うべきでしょう。 歯槽膿漏予防に効果のある成分は他にもトラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、オウバクエキスなどがあるので、歯磨き粉選びで迷ったのなら パッケージに表示されている成分の欄を確認して、これらが含まれているかどうかを目安にすると歯槽膿漏になりにくい体質へとなれるかもしれません。 歯そのものでなく歯茎の健康までも考えるのが一流の歯磨き師なのです。 デキストラナーゼという酵素はプラークと呼ばれる歯垢を分解してくれるので、定期的に使うことで歯垢の付着を未然に防いでくれます。 他にも殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールは歯肉炎の予防になりますし、タバコなどで付着したヤニを落としてくれるポリエチレングリコール、 ポリリン酸ナトリウムは白く輝く歯を手に入れるお手伝いをしてくれますし、口臭予防になるラウロイルサルコシンナトリウムも入っていると助かります。 歯磨き粉にはこんなに多くの種類の成分が含まれていることに驚かれたでしょうか。